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知っているのと、知らないの

パパは、大学を卒業してから2年間くらい、人形劇団の役者をしていたの。

 

幼稚園や保育園に、月曜日から金曜日は毎日のように公演に伺っていた。

まだまだ見習いだったパパは、公演が始まる前の「前座」がお仕事だったの。

 

そこで、色んなことをやったんだけれど、最終的に師匠に「それを極めろ」と言われたのが、切り絵だった。

元々は、林家正楽師匠の切り絵を見て感動したことから始まった。

[youtube id=lWawjN4prMo]

 

そして、YouTubeか何かでたまたま一度だけ見た「立体切り絵」で、

「これを子どもに見せたら、喜ばれるんじゃないだろうか」と考えて、取り入れることにした。

 

 

今は、ネットを調べればすぐに切り絵の構図が出てくるけれど、

パパの時は、まだ出てこなかったから、何百枚も試しに紙を切って、

「こうしたら、クワガタムシに見える」と言うのを、探っていたよ。

 

そして、一番の課題だったのが

話しながら切る

と言うこと。

 

黙々と、集中して紙を切っているだけならできるんだけれど

子どもたちが飽きないように、幼稚園児や保育園児でも、なんとなく笑えるような小話をしながら紙を切る必要があった。

 

その時にしていた小話は、こんな話。

死ぬほど練習したから、15年以上経った今でも覚えてる(笑)


「みんなの◯◯幼稚園には、むかぁ〜し、タカシくんという子がいたんだって。

ある時、タカシくんが◯◯園に来ると、みんなの”お尻”が無くなってたの!

みんなは、お尻がなくなったら困るよね。

ウンチもできないし、座ることもできないよ。大変!!

 

そこで、タカシくんたちは、お尻探しを始めたんだって。

どこにあるかなぁ・・

あ!! あった!

滑り台の上に1個あった!

お友達のお尻に、ペタ〜ン!

 

ブランコの上に1個!

お尻に、ペタ〜ン!

 

鉄棒の上に1個!

お尻に、、ペタ〜ン!

 

そうやって、みんなのお尻をどんどん見つけて行ったんだけれど

どーーーーしても、お尻が1個、足りなかったの。

 

お尻が見つからなかったお友達は、タカシくんと、

タカシくんのお友達のユウキくん

 

『ぼくのお尻だよ!』と、タカシくんがお尻をペタ〜ン。

『えぇ!? ぼくのお尻だよ!』と、ユウキくんはタカシ君のお尻をとって、ぺタ〜ン。

 

何度もなんども、お尻を取り合って・・・・

 

タカシくんとユウキくんは、今でも

『シリトリ』をして、遊んでるんだって」

 

 

と言う、なんでもないお話。

 

そんな話をしながら

子どもたちの反応を吸収しながら

こんな作品を切ってた。

 

 

今回は、折り紙だから小さいけれど、

その時はスケッチブックみたいなサイズの紙を切ってた。

みんなにわかるように。

 

だからこそ、シンプルでわかりやすいフォルムを切る必要があったし

最後に驚いてもらう必要があった。

 

ハサミも、最終的には2000円くらいの業務用のハサミを買って

毎日、油を塗って手入れしてたなぁ・・・

 

紙って、すぐに油を吸うから、切れ味が悪くなるんだよね・・。

出番の直前にも、鼻の脂を塗って、おまじないのようにしてた。

 


立体紙切りができたから、何か特別にすごいと言うことはない。

でも、ねねちゃんにとって、「それもあることを知っている」と言うのは、めちゃめちゃ大きいと思ってる。

 

そう言う可能性も、あるのね

 

 

そんなことを積み重ねて行くことが、脳の発達に役立ってるんじゃないかなと思う。

 

調子に乗って、トナカイも切ってみたよ。

 

 

劇団の時も、クリスマスの時は、トナカイを切ってたなぁ・・。

 

何が一番怖かったかって・・・

 

「あ、知ってる! トナカイだ!」

と、ネタバレした後も、

「本当にそうかなぁ〜?」とか言いながら、切り続ける時間だよね。